<057> 小学校受験の学校説明会よりも大切なことがあります

ゴールデンウィークが明けると、私立小学校の学校説明会が始まります。学校説明会の開催時期のピークは2つありまして、最も賑やかなのは5月~6月、その次は9月です。大方の学校は初夏に1回限りですが、生徒集めに一生懸命な学校は初夏にも秋にも行います。

実際に学校説明会へ行かれても収穫は殆どないでしょう。どこの校長先生も決まって、(本心ではなく)「子供らしい子供を求めている」と仰いますし、在校生の子供たちは、(来客があるのを知っているので)爽やかな笑顔で迎えてくれます。公立小とは比較にならない立派な施設にもうっとりするでしょう。玄人ウケする小学校には、それなりの保護者が見学に来るので、一種独特のピリッとした雰囲気がありますが、誰もが行かせたくなるようなビッグネームの小学校の場合は、人気校ゆえに、あらゆる階層の様々な保護者が集まりますので、フレンドリーで門戸が広いような錯覚に陥るのです。実際は違うけれどね。

説明会へ行って判ることは、学校の所在地と、自宅からの経路と、学校の雰囲気と、先生方の質と、生徒達の質くらいでしょう。その学校の面接対策のために、特設コーナーで創立者の書籍を買い求めたり、校長先生のお話を細かくメモをする人もいますが、極端なことを書くと、例え説明会に参加しなくても合格する人は合格するのです。

学校説明会については、過去にメルマガで何度も書いてきたので、同じことを書くつもりはありませんが、一つだけ大切なことを書かせて頂きます。

エスポワールを卒業されてからも、私とメール交換等でお付き合いをしている保護者の方はとても多いです。実際に私立や国立の小学校へ通わせている方のお話を伺って私が感じていることがあります。

例えば、お子さんを早実や幼稚舎、学習院、青学、立教、白百合、聖心などの大学附属(系列)に通わせている親は、どんなに遠距離通学になっても、そのことには全く気にも留めていません。ところが、自宅から遠い進学校へ通わせている親の中には、後悔をされている方が少なからずいらっしゃいます。「そんなに遠くまで、通わせる必要があったのか?」と思っているようです。クラブ活動でクタクタになっても、長時間通勤電車に乗らなければならず、家に帰ればたくさんの宿題(進学校の宿命ですね)をこなさなければなりません。更に、授業の予習と復習もあります。

進学塾に通う時間的な余裕がない!

小学校の高学年になっても、有名な進学塾に通えないことが「最大の悩み」のようです。速攻で帰宅して無理に塾へ行っても、塾が終わってから、学校の宿題と予習復習(それと、塾の予習復習も必要ですよね)があるので、寝るのは深夜になります。そして、早朝に起床して、また遠距離通学の繰り返し。

考えさせられるお話だとは思いませんか?

それと、大都市の上り電車を使わなければ通えない学校を志望する方は、早朝の激しいラッシュを実際に体験してください。私は好きで体験したのではないのですが、事情があって、朝の8時ちょうどに東急田園都市線の三軒茶屋駅から渋谷駅まで、ほんの5分間の乗車ですが、3月の下旬に息子と乗ったことがあります。

既に乗れないどころか、ドアが開かないくらいに満員の電車がホームに滑り込んできて、その電車にホームに溢れかえっている人たちが乗るのです。5歳の息子と手を繋いで乗り込んだのですが、身長が大人の腰の位置くらいしかないので、手を繋いでいるのに、押されているうちに息子の頭さえ見なくなりました。右腕だけニョキッと上に伸びているのです。姿が見えないので、息がちゃんと出来ているのか心配でしたが、為す術もありません。渋谷駅までただただ祈るだけでした。

渋谷駅に着いたら、乗車前までは、あれだけ元気だった息子の顔面は蒼白で、放心状態です。次に乗り換えた、渋谷駅始発でガラガラの(下りの)副都心線では、一言も喋らずに座席に寝そべっていました。そのまま園に送ったのですが、その日は降園まで、お友達や先生とも口を利かず、昼食は一口も食べなかったそうです。本当に可哀想なことをしました。たったの5分間でこれだからね。

混雑することで有名な路線にお住まいの方は、願書を出す前に、会社を休んでも登校時間に合わせて実際に乗車すべきです。混雑状況だけではなく、降車駅が途中駅ならば実際に降りることが可能かどうかもです。入学してから気付いても遅すぎます。

通わせたい学校を選ぶのではなく、苦痛を与えずに通える学校を選びましょうね。

※過去記事の再掲載です

エスポワール らくらくさん