<041> 幼児教室の入会申込書には親の身上書を記載する欄がある本当の理由

今年も早いもので、あと数日で九月になります。神奈川県のいくつかの私立小学校は九月の上旬に願書を提出して、中旬には早くも考査前の面接が始まります。九月は秋の入試シーズンの幕開けなのです。

この時期になるとお母様方の表情は日増しに険しくなりピリピリムードになります。気心の知れた仲良しグループもお互いの口数が少なくなります。幼児教室の先生を真剣に見つめて、先生の一言一言に大きく頷くようになります。終盤に差し掛かったので、学習に関する質問が極端に少なくなり、代わって写真館で撮った願書用の写真の中から受験に一番相応しい表情を選んで欲しいというものが多くなります。

東京のお受験界では、何故か新宿三丁目交差点角にある某百貨店の写真館が飛び抜けて人気です。その手の写真を撮り慣れていて上手というのが理由ですが、皆があそこで撮るので私も私もというのが実情のようです。エスポワールに写真を持ってきて頂いても、○○小学校向きの写真とか△△小学校に相応しい写真などは存在しませんので、客観的に子供の表情が一番良いものを選んでいます。写真館で願書や家族写真(家族の写真を求める学校や園もあります)を普通に撮る限り、写真で合否は左右されるものではありません。

秋になり年長さんのお母様が臨戦態勢に入ると、今度は年中さんのお母様が来年の受験に向けて幼児教室選びに入ります。東京では11月1日が小学校入試の集中日(この日に入試がある学校を1日校と呼びます)なので10月末までには全員が幼児教室を退会します。その為、幼児教室の新年度は11月からとなります。

不思議なもので、多くの幼児教室では、入室申込書に保護者の学歴と職業の欄があります。この世の学習塾の中で親の身上書を書かせるのは幼児教室だけです。入室を希望する保護者は「お受験は親が受けるようなものなので当然か」と思うか、それなりのステータスがある人たちばかりが入室するので、それを知るためかと思っていることでしょう。

プライバシーに関わる学歴や職業を幼児教室が必要とする理由はありません。一部の例外はありますが、概ね附属小出身の親の子はその学校に合格しやすいということです。概ねと書きましたが、兄弟姉妹をあまり優遇しないごく少数の学校を除けば、余程の問題児でない限り100%近い合格率です。

大手幼児教室の各室長さん同士は売上げを競い合っているので、当然にその教室の合格実績が翌年の売上げに影響します。

特に幼稚舎や早実、学習院、立教、青学、雙葉、聖心、英和、白百合、暁星などの合格実績は重要です。その為、そこの附属小出身(または幼稚園から)の親の子供が入室したら親子共々VIP待遇となります。中学から、高校から、大学からのOBやOGはVIPにはなれません。ちなみに新設校の早実小にはOB、OGはいません。

辞めると言えば必死で引き留めます。性格が悪くても暴れん坊でも辞めさせません。そして、「至らない点がありましたら、何なりと仰ってください」と言います。そして、合格した暁には内外に対して、当教室の親身の指導により合格しましたと宣伝するのです。また、親の職業も合否の目安にします。例外はありますが、多くのお教室では学歴とご職業欄をそのために使用します。ちなみにエスポワールでは全ての子供たちを公平に扱うために申込書にはそのような欄はありません。

このようなことを書くと出身者でなければ合格できないのではと誤解を招くので補足しますが、例え親子代々が附属小からの出身でも、最初の一人目は出身者の子ではなく合格したのです。門戸は決して閉ざされているのではなく開放されています。

※過去記事の再掲載です(情報は古いです)

エスポワール らくらくさん