<064> 小学校受験の行動観察の怖さをお教えします(その1)
何度も言うようにペーパーテストは入社試験の「一般教養」程度のものであり、誰もが周到な準備をしています。
志望校を目指して努力をしている親子同士では、大した差なんか付きません。
入学試験では、試験官はペーパーの採点などはせずに、ジーッと子供の様子を見てチェックをしているのです。
ペーパー以外で大きな差がついてしまうのは、集団テストです。
小集団で相談しながら自由に積み木遊びをする。
小集団で相談しながら紙コップを積み重ねる。
ジャンケン列車で遊ぶ。ドンジャンケンで遊ぶ。
猛獣狩りゲームをする。
少数団で相談しながら自由制作をする。
小集団でリレーをする。
何度も書店での購入をお勧めしている「有名小学校入試問題」(伸芽会)には首都圏55校の入試問題が載っていますが、その殆どの学校で「集団テスト」はあります。
実際の入試では、どのような光景が見られるのかお教えしましょう。
(ここから入試場面です)
まず、10名の小グループが呼ばれます。
試験官から…
「みんなで相談をしながら、ここにある紙コップを高く積んでください」と指示があります。
これから何が起こると思いますか?
元気の良い3人の子供たちが、ワーッと駆け寄って、それぞれが構わずに積み始めます。
4名の子供たちは、取り敢えず1個のコップを手に持って、その子たちの様子を眺めています。
残りの3名の子供たちは、遠巻きに眺めているだけです。
そのうちに、コップを手にしていた子供の一人が声を上げます。
「先生は、みんなで相談しながら高く作ろうと言ってたでしょ」
勝手に積み上げていた元気な子供たちの手が止まります。
次にある子供が声を上げます。
「見て見て、こんな感じにコップを逆さまにして積むと大きくなくなると思うから、みんなでこれを作ろうよ」
遠巻きに見ている3人の子供たちはそのままで、残りの7名は作り始めました。
適当な形で積み上がりました。
そこで、ある子供が声を上げました。
「これじゃダメだよ。みんなで下からちゃんと作った方がいいよ」
次に別の子供が、立っている3人に声を掛けました。
「ねぇねぇ、ここへ来て一緒に作ろうよ」
3人が交ざって、10名でコップを積み重ね始めました。
(おわり)
さて、試験官はこの一連の様子を見て、どの子供に入学して欲しいと思うでしょうか?
逆に、どの子供には入学して欲しくないと思うでしょうか?
誰に◎を付けて、誰に×を付けると思いますか?
これが「行動観察」なのです。
エスポワールの門を叩いた親を除けば、世間の殆どの親は行動観察の怖さに気付いてはいません。
仮に入試をガラス張りにして見学できたとしたら、親は我が子の様子を見て、今までの受験準備は何だったんだろうと、膝から崩れ落ちるでしょう。
(長くなったので「その2」に続きます)
※過去記事の再掲載です
エスポワール らくらくさん