<140> 夏期講習や直前講習に大金を費やしても効果は乏しい

今回のメルマガは、どんなに大金をつぎ込んで夏期講習や直前講習に通っても効果は乏しく、逆立ちしてもチャレンジ校には合格できないというお話です。

気付いたら、季節は夏になっていました。

光陰矢のごとしと言いますが、12月にクリスマスを祝って、紅白を見て、お正月を過ごし、節分で豆まきをして、雛人形を飾り、桜が咲き、春休みが来て、鯉のぼりを眺めて、母の日にカーネーションを渡したと思ったら、夏になりました。

驚きですよね。

この先は、梅雨が来て、紫陽花を眺めて、猛暑の夏期講習へ通ったと思ったら、9月には前哨戦の埼玉入試が始まり、10月に神奈川、11月から東京の入試です。

この先の東京の入試は、あっという間にやってきます。

さて、夏期講習や直前講習に通っても効果は乏しいというお話を書きます。

皆さんもご存じのように、中学や高校の入試は、英・数・国、もしくは英・数・国・理・社の「総合点」で決まります。

なぜなら、小学校や中学校で履修した「必修科目」からの出題だからです。

小学校受験はどうでしょう。幼稚園や保育園に必修科目はありますか?

ないです。

だから好き勝手に、欲しい子を選んでも構わないのです。

そもそも民間の学校(私立)ですので、縁故や卒業生のお子さんを優遇してもOK、有力紹介者の優遇もOKです。

キリスト教の宗教団体が創設した小学校が信者を優遇するのもOKです。

そもそも教会が創った、信徒のための、もしくは信徒を拡大するための学校だからです。

自分たちの学校です。

2歳児・3歳児を募集する名門幼稚園の入園考査と全く同じです。

落ちても文句を言う人は誰もいません。「我が家」が、「幼稚園のお眼鏡に適わなかったんだな」で終わりです。

同様に小学校がどんなに好き勝手に選んでも、文部科学省は何も言いません。

必修科目に基づいた「入試」ではないからです。

幼稚舎や早実を相手に、縁故入学は許せん、不公平な入試だと民事裁判を起こしたとしても、好き勝手に選ぶ権利があるので勝算はないです。

以上の理由で、倍率の高い学校ほど、合格者には何らかの「ご縁」のあった人たちがある程度占めています。

では、好き勝手に選り好みができる「難関小学校」へ潜り込ませるには、どうしたらよいのでしょうか。

ペーパー対策ですか?

違います。平均点よりプラスアルファの(学校が決めた)ボーダー以上なら、誰でもOKだからです。

そもそも「自分のたゆまぬ努力」で勉強した中学受験や高校受験とは違って、小学校のペーパーは「クイズ」です。

それも、子ども自らではなく、親が計画を立てて実行させたものです。

親の手が離れた途端に、大失速するお子さんを小学校側はたくさん見ているので、そもそもペーパーの出来を過信してはいません。

それでは、行動観察ですか?

違います。指示を間違えるとOUTですが、間違えなければOKです。大多数のお子さんがそれなりにクリアしています。

では、運動ですか?

違います。学校の本音は、運動は身体に障害があるお子さんに受験させないための姑息な手段です。

専属の付き添いの先生を付けたり、リフトやエレベーター、障害者用トイレなどの施設の改修、トイレの介助をしたくないからです。

運動を加えたので、多くの私立小学校では身体に障害があるお子さんはいません。

東京には、障害者を積極的に受け入れている、志の高い私立小学校もあります。

では、難関小学校はどのように選んでいるのかを紹介します。

その前に、皆さんに質問があります。学校の先生になったつもりで考えてください。

皆さんは、都立(県立)高校の先生です。赴任先を考えてください。

最も偏差値の高い高校に赴任したいですか、それとも世間で底辺校と呼ばれている高校へ赴任して、子どもたちの学力を底上げしたいですか。

当然にトップ校ですよね。

賢いお子さんが多いトップ校は、全く手が掛からず楽です。

言ったことは理解してくれて、忘れずに行動してくれます。

一を聞いて十を知るお子さんの集団です。

反対に底辺校と呼ばれている学校への赴任は、毎日がストレスです。

言ったことは理解できず、行動にも移してくれません。

校内外での暴力事件などの犯罪の対応やイジメ処理もあります。

毎日毎日、嫌になるほど、同じ注意の繰り返しです。

トップ校の生徒は「大人」が多数です=精神年齢が高い。

底辺校と呼ばれている学校の生徒は「こども」が多数です=精神年齢が低い。

精神年齢が高いお子さんばかりだと、先生にとってはとても楽ですよね。

そもそも、私立小学校は40名学級が多いです。定員を超過させて全クラスとも42名の学校もあります。

一人の担任が全員を見なければならないのです。副担任を付ける学校でも、担任の仕事内容は変わりません。

40名って相当な人数です。幼稚園の倍近くいます。

では、小学校の入試で誰を選ぶのかは、もうお分かりですよね。

楽な「大人」を探しているのです。

トップの高校と同じく、言ったことは理解してくれて、忘れずに行動してくれるお子さんです。

わかりやすく例えると・・・

芦田愛菜さんです。

テレビでの拝見すると、言動から賢いお子さんだと分かります。

クラス全員が芦田愛菜さんのような利発さなら、担任にとってそのクラスは天国です。

仮に彼女が年長さんで、5校の超難関小学校を受験したとしたら「コンプリート合格」は確実です。

もちろん、フリーの枠が少ない学校なら、大人の事情で定員枠から漏れてしまうことはあります。

小学校受験には3つのフィルター(ふるい)があります。

1つ目のフィルターは「ペーパー」です。

大多数の学校は1/2がサヨナラです。慶應横浜初等部は志願者が多すぎるので、2次の行動観察の人数を絞りたくて、1次で3/4がサヨナラになります。

2つ目のフィルターは「行動観察」「絵画制作」「運動」を観察することによって、芦田愛菜さんのような大人びたお子さんを探しています。

3つ目のフィルターは「大人の事情」も踏まえての最終合格者の発表です。

多くの皆さんが勘違いしているのは、2つ目のフィルターです。

「行動観察」を極めれば「絵画制作」を極めれば「運動」を極めれば、高得点になると信じています。

その3つの全てが高得点でも合否には関係ないです。

その3つをさせながら、精神年齢の高い芦田愛菜さんレベルのお子さんを探しているだけです。

さて、大きな勘違いの原因に、幼児教室や模試での「行動観察」の点数化にあります。

そもそも、一部を除いて大多数の入試では、行動観察に点数など付けてはいません。

信じられない方は、学校説明会で質問してください。「点数など付けずに総合的に判断しています」と答えるはずです。

芦田愛菜さんのような、賢くて大人びたお子さんを「行動観察」「絵画制作」「運動」の『全体』を通して探しているだけです。個別ではないのです。

重要なことは「行動観察」「絵画制作」「運動」は試験ではありません。

大人びた賢者を探し出すためのツールに過ぎません。

足切りのペーパーと、その3つのツールに、どんなに大金と時間を費やしても、難関校の合格には近づけません。

そもそも、小学校はそれが完璧であるように求めてはいないのです。完璧でも合格の保証はないです。

単なる、観察のためのツールですから。

結局、生まれ持って輝いているお子さんに、合格の椅子は奪われます。

倍率8倍の入試で、同じ小グループ(8名)に「芦田愛菜さんレベル」のお子さんが一人でもいると、我が子の敗退は火を見るより明らかです。

「ペーパー」「行動観察」「絵画制作」「運動」に大金と時間を費やしても意味がないとはこのことです。

これらは全てツールです。

本質は、入試日までにどれだけ「大人」に育てるかです。

エスポワールは行動観察の看板を掲げていますが、実際は違います。

エスポワールも行動観察や運動、制作をツールとして使っているだけのお教室です。

表だっては「行動観察」のお教室ですが、裏の看板は「大人計画」のお教室です。

大多数のお子さんは、生まれながらに賢くて、園の先生に「ちやほや」されて、お遊戯会でも「主役を任される」ようなお子さんたちに負けるのです。

ちなみに、エスポワールでも夏期講習だけはありますが、本音では不要だと思っています。

年長さんの希望者が多いのでエスポワールの夏期講習は開催しますが、普段とは違った特殊な講座です。

過去の首席卒業者を「完全コピー」しようという「演劇」の講座です。

コンプリート合格のお子さんの授業の様子(モザイクいりVTR)を見て、挨拶や座る姿勢、歩き方、話し方、自由遊びの様子、話し合いの様子、お尋ねの様子などをそっくりそのままマネて演じる「演劇」です。

モノマネ講座なので本当の自分ではないです。

普段の授業では本当の自分を芦田愛菜さんレベルに向上させる講座ですが、夏期は本質的な自分の向上ではなく、単なるモノマネ演技です。

演者なので、本当の自分ではなくてよいのです(←これがポイント)

話は逸れましたが、皆さんが信じている小学校受験に勝つポイントは「ペーパー・行動観察・絵画制作・運動」を極めれば合格に近づくでしたよね。

それは、大きな誤解でした。幼児教室での点数化は指導や集客の上でのマジックだったのです。

高倍率を勝ち抜く秘訣は「芦田愛菜さんレベル」の年長離れした小学生並みの精神年齢に向上させるしかないです。

年長相応でも勝ち目はありません。

年中さんのように見えて、言動が幼ければ絶望的です。

早生まれでも月齢考慮があるから大丈夫だと思いますか。それは単なるポーズです。

入学して初めて分かりますよ。難関校では誕生月の割合が均等ではなかった真実が。

名門校や伝統校ではない学校では「月齢考慮あり」と宣言したときは、忠実に守っているところもあります。

残念ながら、志願者が多い高倍率の学校なら早生まれにも「芦田愛菜さんレベル」はちゃんと存在しているのです。

エスポワールにも4月生まれだと勘違いさせるような早生まれが何名もいます。

芦田愛菜さんの名前を連呼しましたが、イメージしやすいと思っただけですので他意はありません。

また、大学付属の名門校や伝統校ではなく、中学や高校から外部受験する「進学系」の小学校の場合は「ペーパーに重きを置く傾向」があるので今回のテーマとは切り離します。

進学校ではペーパーを重視するしかなく、行動観察でコツコツと自力で勉強ができる「タイプ」なのかを見抜く必要があります。

進学校は中学や高校への「進学実績」が全てであり、翌年の志願者数に影響するからです。当然に幼稚なお子さんは在校生に一人もいません。

年長さんは、入試まで残り5ヶ月です。

芦田愛菜さんのレベルまで精神年齢を高めて、我が子を選んでくれたら学級運営が楽で幸せですよと思わせてください。

「小学生並みの精神年齢」これのみが合格を勝ち取る唯一の秘訣です。

これを意識して、育ててください。

※過去記事の掲載です

エスポワール らくらくさん