<092> 小学校受験の公開模試で満点を取らなくても構わないのだ

年長の5月になると、公開模試を受ける人が増えてきます。受ける動機は、「場慣れ」のためと自分に言い聞かせても、いざ、結果が手元に戻ってくると、あそこを間違えた、ここを間違えた、それは教えていなかった・・・と、気が動転します。そして、親は失点箇所をリストアップして、それを克服させるために「ひとりでとっくん365日」の単元別問題集を買い与えて特訓するのです。

さて、これは正しい行いでしょうか、それとも間違えていると思いますか?

答えは・・・間違えているのです。

既に読者の皆さんは、同じシリーズの問題集を2巡は繰り返していると思います。取り敢えずは、一通りの学習は終えているはずです。苦手としているジャンルを間違えたのなら、それは、問題集を2巡しても、まだ脳がそのジャンルを解くまでに発達していないためなので、これは仕方がないことです。理解しているはずの簡単な問題を落としたのなら、それは単なるミスでしょう。知らない問題が出て、それが解けなくても、これもまた仕方がないことです。

オトナが見ると、小学校受験問題は「幼稚」な問題ばかりなので、100点満点を取るのが当たり前だと錯覚をしてしまうのです。

模試の結果を見て、100点満点を取らせるために、失点したジャンルを克服させるための勉強を増やしたり、100点満点を取らせるために、家庭教師の時間を増やしたりしがちですが、それは間違えています。

模試の結果がどうであろうと、失点箇所を見直すだけで、今まで計画してきた勉強を粛々と進めるに限ります。

苦手なものは、どんなにあがいても、脳がその問題が解けるまでに発達していないので無理でしょう。そもそも、模試で満点が取れると思うこと自体が大間違いです。当然のことですが、誰もが満点なら模試会社の存続に関わりますから、容易には取らせないように作ってあります。ほんの一握りの、生まれながらの天才児が満点を取るのであって、それ以外のお子さんは、こっちもあっちも失点をしてしまうものです。

秋までに出来ればよいのだから、気にしないことです。

極端なことを言うと、どうしても脳が追いつかず、入試までに出来ない問題があっても構いません。入試問題のジャンルは30くらいありますが、そのうち試験に出るのは5つ~6つなので、出題されない可能性の方が高いでしょう。

それに、何度も何度も、同じことを書きますが、小学校受験はペーパーの成績順には決まらないので、ペーパーはボーダーラインを越えてさえいればよいのです。一定の水準のお子さんの中から、学校のカラーに合う親子を選ぶだけです。

オトナの世界だって・・・
・大学センター試験で満点を取らなくても、志望校に入れます。
・司法試験で満点を取らなくても、弁護士や検事や裁判官になれるのです。
・医師国家試験で満点を取らなくても、医者になれます。(いいのかなぁ~)

模試の結果を手に取ると、嫌でも失点箇所が目に飛び込んできます。「どーして、こっちを選んだの!」と叱らずに、今まで努力したからこそ、これだけの点がもらえたと思って、誉めてください。特に初回は、どんなお子さんだって平常心ではいられません。

何度も模試については書いてきましたが、もう一度おさらいです。

@公開模試は場慣れのためです(場所見知りが激しいお子さんは頻繁に行かせましょう)

@点数や失点箇所ではなく、相対的な「位置」(順位)だけを見るようにしましょう(今はこの辺なのかなぁ~と思ってください)

@今の時期は完璧ではないので、得意ジャンルが多く出るか、不得意ジャンルが多いかによって、成績は乱高下します(模試の評価とはその程度のもの)

<一番重要なこと>

模試の成績に惑わされることなく、毎日コツコツと計画通りに勉強を進めることです。

※過去記事の再掲載です(情報は古いです)

エスポワール らくらくさん