<093> 小学校受験の期間中に親が子に思うことは具現化するので注意してね

5月になると、公開模試の結果が返ってきたり、学校説明会へ出掛けたりしますよね。今までは、他人の子と比べることがなくても、小学校受験が現実的になってくると、どうしても気になってくるのです。

・こんなノンビリ屋さんで大丈夫だろうか
・○○ちゃんは利発な子だけれど、うちの子は勘が悪すぎる
・同じ兄弟でも、どうしてこの子は鈍いのだろう

このように考えているお母さんは多いです。どうしても他のお子さんや兄弟と比べてしまうので、その劣っている部分が、気になって仕方がないのです。

逆に、うちの子は結構イケてると思っているお母様もいます。親が教えなくても、幼児教室へ通うだけで勉強は良く出来る。賢いので、一度聞いたことは忘れない。行動観察教室へ行かなくても、何でもテキパキと出来る。同じく、自己主張もハキハキと言うことが出来る。顔も利発そうで凛としている。このような素晴らしい子が合格しなくて、一体誰が合格するのか、教えてちょーだいと思っている親もいるのです。

10人の子供がいれば、2人くらいのお母様が、うちの子供は何でも良く出来るので「イケるかも」と思い、残り8人の半数の4人のお母様は普通だと思い、最後の4人のお母様は、我が子の劣っているところばかりが気になって「ダメかも」と落ち込むのです。

「先生、主人は医者で、息子に後を継がせようと思っているのですが、息子は皆さんの足を引っ張ってばかりで、何をやらせても要領が悪いので、私は医者にするのを諦めています。お陰様で姉は(難関女子の)○○小へ通っていますので、娘に医者になってもらい、継がせようと考えています」と面談で聞かされたことがあります。

小学校受験の時の能力で、子供をダメだとか、イケてないとか、医者に向いていないなんて考えるのは愚かなことです。何度も書きますが、今の子供の脳は成長段階です。全体的に成長するのではなくて、色々な分野がそれぞれバラバラに成長します。5歳児の時点ですっかり出来上がったお子さんもいれば、小学校2年生になったときに出来上がるお子さんもいるでしょう。

最終的には脳は皆と同じ段階まで発達するのです。現時点で、他人と比べて「勘が悪すぎる」とか「要領が悪い」とか「覚えられない」とか「鈍い」とか思わないで頂きたいです。お母様が思っていたことが原因で、小学校受験を失敗することもあると思います。

それはある意味で「運」なので仕方がないことです。たまたま「早熟」だった。たまたま、「早熟ではなかった」の違いなのです。小学校受験さえなければ、長い目で子供の成長を見ることができても、入試は年長の秋と期日が決まっているので、どうしても他人と比べてしまい、長い目で子供の成長を見守ることが出来ません。その為、「勘が悪い」とか「鈍い」とかのレッテルを子供に貼ってしまうのです。

早生まれなら、「早生まれだから仕方がない」と親も納得できますが、早生まれでもなく、他のお子さんよりも遅れていると、「頭が悪いに違いない」と思い込む親は多いのです。たまたま、早熟ではなかっただけです。時間が経過すると自然と皆に追いつくのです。

しかし、不幸なことに、親自身が子供にレッテルを貼って、そのように思い込み、子供もそのように言われて、自分自身で納得したりすると、(故意に汚い言葉を使いますが)本当の「バカ」が生成されてしまうのです。怖いですよ。小学校受験さえなければ、鈍いなんて思われず、愛嬌で済まされていたのに、小学校を受験を志したために他人と比べてしまい、脳の発育が途上なのに、子供に悪いレッテルを貼ってしまう・・・それが子供を呪縛して、抜け出させなくさせる。本当に不幸なことです。

小学校受験は、ある意味で「運」です。実力で入学したければ中学校受験からでしょう。ミカン箱2箱の参考書や問題集を3巡すれば、好きなところへ入ることが出来るハズです。高校受験ならミカン箱4箱、大学受験ならミカン箱6箱を黙々と3巡です。小学校受験を除いた入試では、努力をすれば、それなりの結果は必ず付いて来るものです。

今はイケてるお子さんでも油断は出来ません。皆さんも、小学校時代は神童だったけれど、その後はあっという間に、フツーの人になった級友をご存じですよね。そのうちに皆の脳は揃うはずなので、気を付けましょう。その後は、毎日の積み重ねだけです。

話は逸れましたが、他のお子さんと比べて、我が子が劣っていると思っても、気にしないことです。要領が悪いと親が思い込めば、それは親の言葉や態度に表れ、子供はそれを素直に受け入れて、本当に要領が悪くなります。「こんなに簡単なのが解らないのか」と言えば、「私は簡単なものも解らない人間」だと思いこみ、本当にそのようになるのです。言葉に出さなくても同じです。「息子は医者に向いていないから、姉に期待する」と思い込めば、それは親の言動ににじみ出て、子供へとジワジワと伝わってしまうのです。やがて、息子さんは本当に医者には向かなくなります。親が子供に思うことは、容易に具現化するのです。気を付けましょう。

幼児期の段階で、この子は、あれがダメ、これがダメと決めつけるのは止めることです。将来は必ず「大輪の花」を咲かせる子供だと思い込みましょう。親が毎日、そのように思えば、必ず現実するのです。

※過去記事の再掲載です(情報は古いです)

エスポワール らくらくさん