<058> 小学校受験の行動観察の怖さをお教えします(その2)
前回の「紙コップ積みゲーム」を読んで、ドキドキした人はいますよね。
うちの子はやんちゃなので、お友達のことを考えず積み上げるタイプだから心配ですか?
うちの子はきっと遠巻きにボーッと眺めているだけだから心配ですか?
うちの子は他の子の様子を伺ってから、ワンテンポ遅れて行動するタイプだから心配ですか?
主な有名小学校の集団テストを紹介します。
<国立小>
○東京学芸大学附属世田谷小学校…
3名で相談しながら積み木積み
○東京学芸大学附属世田谷竹早小学校…
3名で相談しながら大きいサイズ順のカード並べ
○横浜国立大学教育学部附属横浜小学校…
5名で相談しながらパズル完成
<私立小>
○青山学院初等部…
小グループで相談しながら共同制作
○学習院初等科…
5名で相談しながら玉転がし
○暁星小学校…
5名で相談しながら円柱積み
○国立学園小学校…
5名で相談しながら積み木積み
○慶應義塾幼稚舎…
2~4名で協力して鬼退治
○光塩女子学院初等科…
5名でリーダーを決めてオモチャ遊び
(リーダーを決めるって露骨だなぁ)
○日本女子大学附属豊明小学校…
5名で相談しながら積み木遊び
○早稲田実業学校初等部…
5名で相談しながら遊び方法を考える
○横浜雙葉小学校…
5名で相談しながら共同制作
○開智小学校…
10名で共同制作
○さとえ学園小学校…
6名で相談しながら遊びの方法を考える
書ききれないので、その他の小学校は省略します。
前回のメルマガに書いた「紙コップ積み」の様子は、私が学校側の気持ちになって空想で書いたものではありません。
実は、エスポワールの授業での一コマでした。
首都圏にある主要55校の全ての行動観察は実際に教室で教えていますので、紙コップ積みゲームでの子供たちの様子も、毎年のように繰り返し、私の目の前で繰り広げられているシーンに過ぎません。
8倍の競争率なら、たったの1名だけが合格して、残りの7名が不合格になるという、もの凄く狭き門なのです。
大挙して押し寄せる受験者の中から、パッ、パッと手際よく「合格者」を選別しなければなりません。
「本当は、この子は良い子かも」
「じっくりと話せば、素晴らしい子かも」
残念ながら、このように見てはくれません。
機械的な流れ作業で◎○×と判定されるのです。
皆で相談するという指示を聞かずに、紙コップに突進して勝手に積んだ子供は×でしょう。
リーダーシップを発揮して皆をまとめた子供は◎でしょう。
遠巻きに眺めているだけの子供は×でしょう。
遠巻きの子供を仲間に引き入れた子供は◎でしょう。
リーダーの意見に追随しながらも作業に参加した子供は○でしょう。
このメルマガをご覧のお母様が実際に試験官を体験したとしても、私がここで書いた評価と全く同じだと思います。
入試は複合的な要因で合格者が決まります。バックグラウンド、ペーパー、指示行動、面接、校風、それらを抜きにしたお話しとして…
8名に1名が合格するような高い競争率の学校では、◎の子供たちの中から合格者が出る可能性が極めて高いです。
4名に1名が合格するような競争率の学校では、○の子供たちも合格する可能性があります。
2名に1名が合格するような競争率の学校では、×の子供たちも合格する可能性はあります。
同じペーパー教室に通っていると、成績が上位の子供が不合格で、その子よりも成績が下の子供が合格することがありますが、それは珍しいことではありません。コネの有無の場合もありますが、行動観察の差が原因の可能性もあるのです。
どんなに頭が良くたって、行動観察で×を付けられたら致命傷なのです。
心当たりのある方はいらっしゃいますか?
実際に、リーダーシップや思い遣りは、集団の中でなければ学べないものなので、家庭では難しいです。
息子はリーダー格の子供ではないので、心からエスポワールに通わせたいと願っていましたが、自分の子供を入れるなんてイヤらしいので諦めました。先生も嫌がるだろうしね。
その代わり…
●年少の娘の面倒(躾を含む)を任せました
●レストランやお寿司屋さんでは、家族全員の注文を託しました
●夕食の献立や、買い物も(付き添いますが)任せた日もありました
●遊びや旅行の計画も立てさせました
●家の大掃除の指揮を執らせました
●年齢の近い親類の子供たちを我が家に招待して、幼稚園ゴッコの先生役をさせました
●幼稚園のお友達を招待して、ホスト役をさせました
大人の世界でも同じことですが、リーダーは経験しないとなれません。
自分の力で周りを動かした経験がないと、他人に影響力を与えることなんて出来ないのです。
息子はリーダー格ではなく、調整型の子供なので、志望校の「集団テスト」がとても心配でした。
同グループの勢いのある子供に飲まれて埋もれてしまうのではと…。
そこで、娘に対しても…
親に対しても…
周囲の大人に対しても…
親類の子供たちに対しても…
幼稚園のお友達に対しても…
臆せずに言いたいことを言い、自分の指示でバシッと人を動かす経験を積ませました。
実際の入試では「家での練習」通りに、みんなをまとめることができたと言ってくれました。
「家での練習」とは…
●突っ走っている子には「それは違うと思うよ」と注意を促す
●役割分担やルールを決める
●遠巻きにしているお友達がいたら仲間に入れてあげる
これらは、我が家のロールプレイで教えたことです。(実はエスポワールの授業のパクリです)
※過去記事の再掲載です
エスポワール らくらくさん