<134> 小学校受験では「模擬試験の合格判定」は当てにはなりません

模擬試験の「合格判定」が当てにならない理由を書きます。

そもそも、小学校は中学や高校、大学受験のようにペーパーの点数順に合格者を出しません。脳の発育差が大きい5歳か6歳の幼児ですので、その時点で高得点だから即ち優秀とは限らないのです。

平均点プラスアルファーがボーダーラインです。

平均点ですと微妙なので、その少し上に線を引いています。入試のペーパーは幼児の知能検査を参考に作られているので、知能が一定以上あれば良いと思っています。昔の小学校受験では「ペーパー」即ちIQテストで学習障害がないお子さんを探すのが本来の目的でした。

大人の知能検査は特訓を受けて、何度もIQテストを受けたとしてもIQに変化はありませんが、幼児の知能検査はまだ幼いがゆえに「知識系」「数量系」「常識系」「推理系」が中心になります。そのため、トレーニングを積むほど、数字の上でのIQは向上してしまうのです。小学校側もそのことは分かりきっているので、一定のボーダー以上をクリアとしています。ボーダーのギリギリのお子さんと満点を獲ったお子さんでは違いはありません。

小学校側が欲しがる本物の「優秀」なお子さんは、精神年齢の高いお子さんです。

小学校の先生は毎日小学生を見ています。6年生では身長が160cmの大きいお子さんもいます。小学生は幼児と違って考え方も大人に近くなります。高学年になると既に大人の会話ですよね。

それに比べると、秋に受験してくる年長さんは小学校の先生から見たら「赤ちゃん」に見えてしまいます。小学生に比べたら、ちっちゃくて、可愛くて、愛おしいです。しかし、受験生の中には大人びた幼児もいます。立ち振る舞いから、会話の内容で「おっ!この子は大人だねぇ!」と思われるお子さんです。

新入りのピカピカの1年生には「大人だねぇ!」が欲しいのです。「大人だねぇ!」だけでクラスを固めると学級運営が楽チンだし、手が掛かりません。それに「大人だねぇ!」のお子さんには伸びしろもあり、勝手に成長してくれるのです。

小学校受験の「絵画」や「行動観察」や「運動」は、採点するのではなく、それぞれをさせながら「大人だねぇ!」を探しているのです。ドラマのオーディションで「このセリフを言ってみて」「ちょっと踊ってみて」「ちょっと歌ってみて」と試すのと同じです。全体を見て配役のイメージに相応しいか見ているだけです。

絵画の内容よりも「何を描いているのですか?」の返しの言葉を待っています。返しの言葉で「精神年齢」を測っています。行動観察や運動も、単に指示通りにやっているのか、それとも試験官に私の指示行動を見せつけているのかを見ています。「大人だねぇ!」の幼児は、自分から「意欲」と「行動」を見せつけてきます。

超難関校ほど倍率が高く選び放題ですので「大人だねぇ!」の志願者も大勢います。きっとウキウキしながら「素敵な子はどこにいるのかな」と選んでいることでしょう。怖じ気づいたり、棒立ちだったり、寡黙だったりしたら、お話にはならないのです。

もう一つ重要なことは、願書に書かれている親の学歴と経歴です。簡単に言えば、学校の格と家の格の「釣り合い」です。伝統校ほどバランスが大きく崩れると受け入れてはくれません。

学歴では親が志願先の小学校の卒業生ならかなり有利です。中学から入学しても貢献度があり有利です。高校や大学からだと貢献度が低くなりちょっぴり有利です。経歴によっておおよその所得や社会的ステータスも見ています。

ちなみに、願書に親の学歴と経歴を盛り込まないと(そもそも親の学歴欄と経歴欄は差別だと旧・文部省の指示でなくなりました)、倍率の高い小学校ほど相手にされません。親がどこの誰だか分からないので怖くて選べないのです。

伝統校ほど、家と学校との「お見合い」です。願書はお見合いの「釣書」(身上書)です。

ここが中学受験と大きく違うところです。中学受験の大手進学塾が小学校受験へ進出できない大きな理由がここにあります。公正な偏差値で割りきれないからです。

釣り合いのバランスが少々悪くても「大人だねぇ!」係数が高い「光っている子」は受け入れる可能性が十分にあります。

「大人だねぇ!」係数と「釣り合い」の影響は大きいので、模試の合格判定は全く当てにはできません。

ちなみに、エスポワールは「大人だねぇ!」に育てる唯一無二の幼児教室です。釣り合いが少々悪くても「大人だねぇ!」係数で大逆転を狙います。

他のお教室も誰が選ばれるかという入試の本質は分かっているのですが、中学受験のようにシステム化する方が楽なので、「大人だねぇ!」を育てるという視点と勇気がないのです。

「あの子とあの子は大人っぽいから受かりそうね」

「あの子は幼稚だから入試は全くダメね」

全ての幼児教室の全ての講師が分かっているのですが、分かっていながらペーパーに注力して放ったらかします。

「幼稚だから受からない」と分かっていながらの放置です。

大人にさせるカリキュラムも経験もノウハウもないし、売り上げのために秋まで集金できればOKだと『お客様』扱いしているのです。

※過去記事の再掲載です

エスポワール らくらくさん